Go言語におけるWaitGroupの非ブロッキングな使用法

By quonta 4月 15, 2024

WaitGroupの基本的な使い方

Go言語のsync.WaitGroupは、複数のゴルーチンが終了するのを待つための機能を提供します。以下にその基本的な使い方を示します。

package main

import (
    "fmt"
    "sync"
    "time"
)

func worker(id int, wg *sync.WaitGroup) {
    defer wg.Done()

    fmt.Printf("Worker %d starting\n", id)

    time.Sleep(time.Second)
    fmt.Printf("Worker %d done\n", id)
}

func main() {
    var wg sync.WaitGroup

    for i := 1; i <= 5; i++ {
        wg.Add(1)
        go worker(i, &wg)
    }

    wg.Wait()
}

このコードでは、5つのゴルーチンを起動し、それらがすべて終了するのを待っています。各ゴルーチンは、開始時にwg.Add(1)を呼び出してWaitGroupのカウンタを増やし、終了時にwg.Done()を呼び出してカウンタを減らします。wg.Wait()は、カウンタが0になるのを待つことで、すべてのゴルーチンが終了するのを待ちます。これにより、ゴルーチンが非同期に実行されても、すべてのゴルーチンが終了するまでメインのゴルーチンが終了しないようにすることができます。これがsync.WaitGroupの基本的な使い方です。次のセクションでは、非ブロッキングなWaitGroupの使用法について説明します。

非ブロッキングなWaitGroupの使用法

通常、sync.WaitGroupWait()メソッドは、全てのゴルーチンが終了するまでブロックします。しかし、場合によっては、Wait()メソッドがブロックせずに、ゴルーチンの終了を待つことなく他の処理を進めたいこともあります。そのような場合には、Wait()メソッドを非ブロッキングにする方法があります。

以下に、非ブロッキングなWait()メソッドの使用例を示します。

package main

import (
    "fmt"
    "sync"
    "time"
)

func worker(id int, wg *sync.WaitGroup) {
    defer wg.Done()

    fmt.Printf("Worker %d starting\n", id)

    time.Sleep(time.Second)
    fmt.Printf("Worker %d done\n", id)
}

func main() {
    var wg sync.WaitGroup

    for i := 1; i <= 5; i++ {
        wg.Add(1)
        go worker(i, &wg)
    }

    go func() {
        wg.Wait()
        fmt.Println("All workers done")
    }()

    fmt.Println("Main goroutine continues")
}

このコードでは、Wait()メソッドを別のゴルーチンで呼び出しています。これにより、Wait()メソッドがブロックしてもメインのゴルーチンは他の処理を続けることができます。すべてのワーカーゴルーチンが終了したら、Wait()メソッドがブロックを解除し、”All workers done”が出力されます。

ただし、この方法を使用する際には注意が必要です。Wait()メソッドがブロックしないということは、メインのゴルーチンがすべてのワーカーゴルーチンが終了する前に終了してしまう可能性があるということです。そのため、この方法を使用する際には、メインのゴルーチンが適切に終了するように工夫する必要があります。次のセクションでは、一般的な間違いとその修正について説明します。

一般的な間違いとその修正

Go言語のsync.WaitGroupを使用する際には、いくつかの一般的な間違いがあります。以下にその間違いとその修正方法を示します。

間違い1: Done()の呼び出しを忘れる

この間違いは非常に一般的で、Done()メソッドの呼び出しを忘れると、Wait()メソッドは永遠にブロックされ、プログラムは停止します。これを防ぐためには、deferステートメントを使用してDone()メソッドを呼び出すことを忘れないようにしましょう。

func worker(id int, wg *sync.WaitGroup) {
    defer wg.Done()  // Don't forget this!

    // Do some work...
}

間違い2: Add()Done()の呼び出し順序

Add()メソッドは、新しいゴルーチンを開始する前に呼び出す必要があります。もしAdd()をゴルーチンの中で呼び出すと、Wait()メソッドが早すぎてゴルーチンが終了する前に戻ってしまう可能性があります。これを防ぐためには、Add()をゴルーチンを開始する前に呼び出しましょう。

wg.Add(1)  // Call this before starting the goroutine
go worker(i, &wg)

これらの一般的な間違いを理解し、それらを避けることで、sync.WaitGroupを効果的に使用することができます。次のセクションでは、WaitGroupとゴルーチンのスケジューリングについて説明します。

WaitGroupとゴルーチンのスケジューリング

Go言語のsync.WaitGroupは、ゴルーチンの終了を待つための便利なツールですが、それだけでなく、ゴルーチンのスケジューリングにも影響を与えます。具体的には、WaitGroupはゴルーチンが終了するのを待つために使用されますが、それはゴルーチンがどの順序で実行されるかを制御するものではありません。

Goのランタイムは、ゴルーチンをどの順序でスケジュールするかを決定します。これは、ゴルーチンがCPUの利用可能なコアにどのように分散されるか、またはゴルーチンがどの順序で実行されるかを決定します。したがって、WaitGroupを使用しても、ゴルーチンの実行順序を保証することはできません。

しかし、WaitGroupは、特定のゴルーチンが終了するのを待つことで、他のゴルーチンがその結果を利用できるようにするための一方的な同期メカニズムを提供します。これは、一部のゴルーチンが他のゴルーチンの結果に依存している場合に特に有用です。

以下に、WaitGroupを使用してゴルーチン間の依存関係を管理する例を示します。

package main

import (
    "fmt"
    "sync"
)

func worker(id int, wg *sync.WaitGroup, results *[]int) {
    defer wg.Done()

    // Do some work...
    *results = append(*results, id)
}

func main() {
    var wg sync.WaitGroup
    results := make([]int, 0)

    for i := 1; i <= 5; i++ {
        wg.Add(1)
        go worker(i, &wg, &results)
    }

    wg.Wait()

    fmt.Println(results)  // Prints the results of all workers
}

このコードでは、各ワーカーゴルーチンは結果を共有のスライスに追加し、メインゴルーチンはすべてのワーカーゴルーチンが終了するのを待ってから結果を印刷します。これにより、各ワーカーゴルーチンが終了するのを確実に待つことができ、その結果を安全に利用することができます。

以上が、sync.WaitGroupとゴルーチンのスケジューリングについての説明です。この記事が、Go言語のsync.WaitGroupの理解と適切な使用に役立つことを願っています。

By quonta

Related Post

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です